プロレスという特殊なエンターテインメントには様々な側面があります。試合内容、レスラーとそのバックグラウンド、サイコロジー……。どこを重視するかは人それぞれです。
WWEの名物実況アナウンサーとして活躍し、現在はAEWの放送席で働いているレジェンド、ジム・ロスにとって、最も重要な要素は「ストーリーテリング」です。
ストーリーをどのように物語るのか。これこそが最も重要だということを理解する必要がある。ウィークリー番組の要素の1つだ。
昔、フォーマットが定まらない状態でRAWの収録に挑まなければならなかったことがあってね。番組内容が何も決まらないまま生放送が始まったんだよ。ライターたちとビンス(・マクマホン)が何やら苦労していたようで、ドミノ倒しのような収録だったんだ。本来ならこんなことはあってはならないんだけど、第1試合が何なのかすらわからないまま喋りはじめなきゃならなかった。なんとか対応しながら、フォーマットが決まるのを待ってたんだよ。[…]トニー・カーン(AEW社長)は先々のことを考えながら仕事をする人だから、放送開始前に来週分のブッキングまで教えてもらえるけどね。
視聴者に対して何を訴える必要があるのかわからないまま試合を実況しなければならないなんて、大変な経験ですね。1人の視聴者としては、そういうところもWWEの面白さではあると思います。
そんな価値観を持つJRは、The Pinnacleのワードローを高く評価しています。
ワードローはね、長年プロレス界で働いている俺が過去を振り返って考えると、少なくとも俺と一緒に仕事をしたことのあるブッカーたちからは間違いなく愛されるタイプのレスラーだよ。なんとしてもロースターの一員であってほしいと思われるような感じだ。個人的な意見だけど、彼はAEWの次のスターになれるかもしれないよ。
ルックスと体格がよく、試合も十分にこなし、ストーリーの一員として素晴らしい働きを見せる。彼の名を世界に知らしめたのはCodyとのスティール・ケージ・マッチ(2020/2/19)でしたが、あの試合の後もいい試合ができています。MJFとのセットではなく、単独でスポットライトを浴びる機会があれば、今とは別のポテンシャルも見せてくれるかもしれません。ちょっと楽しみになりました。
(参考: Wrestle Zone)