AEWの最高ブランド責任者を務めるブランディ・ローデス。裏方の仕事ばかりではなく、Codyの妻としてリングサイドで試合に貢献し、ときにはレスラーとしてリングにも上がるAEWの重要人物です。
そんな彼女が、インタビューでレイティングやWWEについて語りました。
レイティングについて
AEWのウィークリー番組”Dynamite”と同じ水曜日・同じ時間帯に放送されるWWE・NXTとの間で視聴者の奪い合いが行われています。両団体の争いは「ウェンズデー・ナイト・ウォーズ」と呼ばれ、近年のプロレス界で最も注目せざるを得ない「抗争」となっています。
放送が始まってから2週間連続でNXTよりも多くの視聴者を獲得しているDynamiteですが、ブランディはAEWのレイティングに対する考えをこう説明しています。
私たちにとって最も重要なことはレイティングではありません。焦点を当てているのは、毎週自分たちのベストを尽くすこと、そして可能な限り素晴らしいショーをファンに提供することなんです。私たちは、評価に左右されたり、どのグループとも競争することなく、私たちが焦点を当てていることに集中し続けるつもりです。
良い番組を提供することで人気を定着させていくことに焦点を当てているのは良いことですね。WWEへのライバル心だけで動くわけではなく、長期的な戦略で動いているのでしょう。
WWEについて
とはいえ、AEWにとって、WWEの存在は避けて語るのことのできない存在です。団体にとってもファンにとっても、AEWは新日本プロレスと並ぶアンチWWEの最右翼だという認識があるでしょう。このことは、Dynamiteの初回放送の際、ファンにある種のサインボードの持ち込みを禁じたことからも伺えます。
インタビュアーに「AEWはWWEの代替案ではなく、ファンの長年の不満へのアンサーなのか」と質問されたブランディは、次のように語っています。
AEWは私が関わったどの会社よりもファンを中心に据えています。団体をうまくやっていくためにね。ファンのことは、単に外部要因としてではなく、プロセスの一部として維持したいと考えています。私たちにとっては、この考え方のおかげで難しい決断をより楽に下すことができるようになるんです。
AEWの前身となった伝説の自主興行”ALL IN”は、デイブ・メルツァーの「WWE以外のアメリカの団体に1万人以上の客を集めるショーはできない」という趣旨の発言を受けて企画されたもので、約11000枚のチケットは販売開始からまもなく完売しました。ファンの支えがあってDynamiteの放送開始にまでこぎつけることができたという意識があるのでしょう。
男性中心のプロレス界
プロレス界の「クリエイティブ・チーム」は男性を中心に構成されることがほとんどです。女子プロレスラーはプロレス界の一部に過ぎず、人気のあるプロレス番組では脇役になりがちです。
業界でも数少ない女性幹部の1人であるブランディは、こうした男性中心のプロレス界に異を唱えています。
女性から創造的な成果が出ることは決してないなんて、認められません。女性からの意見を聞こうとしないということは、心が完全に閉ざされているということですよ。
私は女子部門のブッカーではありません。でも、女性の声を男性に届けるようにしています。彼女たちの声を世間に伝えるために。プロレスに何年も携わってきて、成功を収めてきたのに、ある女性に「ねえ、それは私たちのやりたいことじゃないんです」と言われるのはたしかに腹立たしいことです。でも、あなたは女性じゃない。女性は男性から「どう考えるか、どうあるべきか、何を感じるか」を命令されることを嫌うんです。
(SI)