ROHの実況アナウンサーであるイアン・リッカボーニとのトラブルが取り沙汰されていた元実況アナウンサーのケビン・ケリー。
2024年3月にAEWから解雇された彼は、現地8月30日にダルトン・キャッスルのボーイズとして知られたテイト・ツインズと共にAEWらを相手取って訴訟を起こしました。
ケビン・ケリーの主張
以前からAEWへの憤りを公言していたケリーの訴えは複雑です。
- AEWがタレント契約に盛り込んでいる仲裁条項(紛争を裁判所ではなく仲裁で解決することを要求する条項)の無効化
- プロレス界の雇用分類の問題と集団訴訟の認定要求:AEWがレスラーたちを「従業員」ではなく「独立請負業者(個人事業主)」として分類していることを「誤り」だと主張。今回の訴訟は他のAEWレスラーたちにも影響する可能性があるとし、集団訴訟として認定することを裁判所に要求
- リッカボーニによる名誉毀損:元友人のリッカボーニがSNSで「ケリーがDiscordで俺の悪口を言っていた」「彼はQAnon陰謀論者だ」などと公言したことに対して名誉毀損を主張
- 金銭的損害賠償:実況アナウンサーという仕事上、AEWから解雇されたことによってその後の仕事探しが困難になったとし、AEWに損害賠償を求めている
AEWでの活動がうまくいかず、不満を持っていたところでリッカボーニの「名誉毀損」被害を受け、さらに解雇されてしまった…。彼の怒りは、プロレスラーの雇用問題への問題提起なども含めた訴訟を起こすまでに至りました。
テイト・ツインズの解雇
ダルトン・キャッスルに付き従うザ・ボーイズとしての活躍で知られるテイト・ツインズは、2024年4月にAEWから解雇されました。
トニー・カーン社長は、その理由として「彼らが職場に現れないことが複数回あった」と主張。しかし、テイト・ツインズ側は「AEWとのコミュニケーションに問題があり、移動スケジュールが誤っていたのがそもそもの原因だ」と主張しています。この件は名誉毀損訴訟の一部になっているようです。
AEWの反応
Sports Illstratedによる取材に対し、AEWの広報担当者は「AEWは係争中の訴訟についてコメントしない」とノーコメントの態度を取っています。
ジム・ロスの見解
今回の訴訟を受け、ケリーと同じ実況席で働いたレジェンド実況アナウンサーのジム・ロスは、自身のPodcastで「こういう訴訟は好きじゃない」とした上で見解を述べています。日本でもよく話題になる「プロレスラーと個人事業主」の問題への意見も含まれています。
プロレスラーやスタッフは、契約にサインする時点で、その条件に同意しているんだ。それには、「個人事業主であること」も含まれる。
まあ、原告のケビン・ケリーたちは、AEWのトニー・カーン社長よりも先に資金が底をつくだろう。彼らが何らかの形で和解金を得られるとは思えない。
こういう訴訟は好きじゃないね。無駄だと思う。彼らが弁護士に金を払う前に、みんなで集まって何か解決策を見つけられると思うけどな。弁護士のスタンスは、おそらく「勝てば報酬がもらえるし、負けても自分には問題ない」というものだろう。
ケビン・ケリーは長年の友人だから、彼があんな形でAEWから去っていったのを見るのは辛かったよ。彼はただ不満を抱えていた。もっと大きな役割を望んでいたのに、それが叶わなかったんだ。そして、突然いなくなってしまった。不幸なことだよ。
彼は才能あふれる男だ。個人事業主の件が覆される見込みはないと思う。
(Fightful)