WWEを世界規模の団体へ成長させた天才プロデューサー、ビンス・マクマホン。彼の手腕にはWWEの内外から賛否両論が巻き起こっていますが、現在のWWEを牽引するHHHにとっても、ビンスのやり方は「納得できない部分もあった」ようです。
2022年7月、不正会計&性的スキャンダルが浮上したことでビンスはWWEから一時的に引退し、HHHが現場の責任者の座を引き継ぎました。ビンス時代のWWEは番組開始直前に台本が変更されたり、リマッチが多かったりと、選手やスタッフにとってストレスの多い職場でした。しかし、HHHに代替わりした後は状況が一変し、雰囲気の良い職場になったとされています。

現役選手として、そしてWWEを舞台裏で作っていくスタッフとしてビンスのしごとを間近で見ていたHHH。彼の目に、ビンスの仕事はどのように映っていたのでしょうか。最新のインタビューで、HHHはビンスの問題点を次々に指摘し、ビンスが「反面教師」でもあったことを明かしました。
人から学ぶときって、「やるべきこと」だけじゃなくて、「やるべきじゃないこと」も学ぶもんだ。正直、彼のやり方には引っかかる部分もあったよ。性格的な部分も含めて、俺なら全然違うやり方をするだろうなって思ったことは多かった。
NXTをやってた頃にも、よく言われたよ。「お前、なんでそんなやり方するんだ?」って。「俺にはこれが合ってるからさ」って返してたけどな。
ショーン・マイケルズたちとD-ジェネレーションXを始めたばかりの頃は、好きにやってた。誰にも台本なんて書かれなかった。とにかく自分たちのアイデアで突っ走ってて、毎週のように彼に怒鳴られてたよ。「放送禁止になるぞ、クソったれ、もうやるな!」ってな。
でも、俺たちは「どうでもいいや」って感じで次の週も同じようなことをやってた。そしたら、いつの間にかそれがウケ始めて、数字も上がってきて……。
そんな中、ある週のテレビ収録で急に脚本が渡されたんだ。「これ何?」って聞いたら「ビンスが今夜言ってほしい台詞だ」って。「は? 俺たちにそんなの要らないだろ?」って話だよ。結局、ビンスのオフィスに行って抗議した。
彼は「これが俺の望む形だ」って言い張って、結局シャーン(マイケルズ)は紙を丸めて「こんなもん言うかよ」って投げ捨てて出ていった。俺は内心「あ、俺たちクビだな」って思ったけどな。
彼はどんどん支配的になっていった。何から何まで自分の思い通りにしたがる。もちろんボスだから、それは彼の特権だ。でも現場では「もっと良いやり方があるのに」って皆が思ってたよ。
Attitude Era時代のプロデューサーのパット・パターソンでさえ「ビンスはこうやりたいらしいけど、バカバカしい。別の案でいこう」って俺に言ってきたくらいだ。俺も「パット、俺はもう青ざめるくらい説得したよ。次は君がやってくれ」ってな。
ビンスのやり方に反発し、「俺ならこうやるのに」と考え、自分の理想を模索していた時期があったからこそ、HHHやショーン・マイケルズは現在のWWEを成功に導くことができているのかもしれませんね。ビンスがWWEの現場から離れて数年になりますが、彼が育て上げた人材がこれからのWWEを担っていくのは間違いありません。
(WrestlingNews.co)
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