プロレス界には、いつまでも語り継がれるショーがたくさんあります。
例を挙げればキリがないほどですが、いくつか名前を挙げるなら、史上最高のPPVと称される2001年のレッスルマニア17や、CMパンクとジョン・シナによる伝説の試合が行われた2011年のMoney In The Bank、そしてCMパンクの復帰戦やブライアン・ダニエルソンのサプライズ入団があった2021年のAEW All Outあたりでしょうか。
これらはどれもファンから熱狂的に支持されるショーですが、ここに並ぶほど大盛りあがりだったショーに、2005年に開催されたWWE主催の「ECW One Night Stand」があります。90年代のプロレス界で大ブームを巻き起こしたECWの一夜限りの復活祭で、マイク・オーサム vs 田中将斗は特に高い評価を得ました。
AEW社長、そしてROHのオーナーを務めるトニー・カーンは、先日開催されたROHの復活興行「Supercard of Honor」を、One Night Standを参考に作り上げたことを明かしました。2020年に全所属レスラーとの契約を解除し、体制を一新してから初めて開催されたショー。完全に、ではありませんが、One Night Standに似た要素があります。
ROHの鉄は熱いうちに打て、だ。冷めたトリビュート・マッチはしたくなかった。One Night Standは史上最も素晴らしいPPVの1つなわけだけど、その理由は、WWEがECWの精神をうまく表現し、ショーの中にエキサイティングな要素がたくさんあったからだよね。
思ったのは、「AEWの精神をうまく表現したショーができるんじゃないか。ROH要素のないAEWのショーは嫌だ」ってこと。これはOne Night Standと同じで、あれはWWEのショーではなかったのが素晴らしいところなんだよ。
Supercard of HonorはROHのショーだった。実況席もリングアナウンサーもROHメンバーだしね。AEWから何人かレスラーが参加したけど、ROHと縁がなかったのはFTRだけ…スワーブ・ストリックランドもそうか。でも、皮肉なことに、俺が買収する前からROHはスワーブをブッキングしててさ。スワーブはAEWと契約する前からSupercard of Honorにコミットしてたんだよ。
過去を参考に現在進行系のコンテンツを生み出す。すべてのクリエイターに求められる技術ですが、筋金入りのプヲタであり、大富豪一族の青年でもあるトニーにとっては、さほど難しいことではないのかもしれません。