新型コロナウイルスのパンデミックは、世界中の人たちの価値観を大きく変えました。
あらゆるプロレス団体が活動の縮小を強いられ、無観客での番組収録・大会の開催をせざるを得ない状況に追い込まれ、財政面でも苦境に立たされたのです。WWEは客席にモニターを設置し、ファンが自宅から番組を観戦する表情を映し出して観客がそこにいるかのように演出するThunderdome形式での番組・PPV収録を行うという工夫で苦しい時期を乗り切ろうとしました。しかし、ファンの生のエネルギーを感じることができないことに戸惑いや憤りを感じる選手も多かったのが実情です。
現在では有観客でのショー開催が復活したものの、Thunderdome EraはWWEスーパースターたちの意識を変えたようです。WWE世界ヘビー級王座チャンピオンのセス・ロリンズは、最新のインタビューの中でファンとのつながりについて語り、以前は「当たり前」だったことが、今ではそう考えられなくなったことを明かしました。
ファンは楽しんでくれている。それこそプロレスってものだ。ここ2〜3年の観客は本当に楽しんでくれているね。昔は、俺たちが行く街で待っているファンたちに、「みんな、このショーを見たいと心から思っていたか?大金を使って見に来てるんだから、本当に楽しい時間を過ごそうと思してくれているか?」と思ったりしてたよ。
でも、最近は…おそらく新型コロナウイルスのパンデミックが終わった後、これを当たり前のことだと誰も思わなくなったんだよ。1年半くらい、WWEは無観客で番組やPPVをやっていたからね。観客の前でパフォーマンスをすることはもう二度とできないかもしれない、と思ってたし。
(ファンがセスの入場曲を合唱していることについて)会場のファンが「What?」チャントを飛ばすようになったら、それは彼らが退屈していることの意思表明だ。もし、ファンが俺に関係ない場面で入場曲を合唱し始めたら、話は変わってくる。今は、俺とファンでパーティーをしてるんだよ。俺の対戦相手が大きく動揺することを、俺たちは望んでいるんだ。
あの時期を経験した今、ファンの合唱は本当に嬉しいでしょうね。