プロレス界において、レスリング・オブザーバーのデイブ・メルツァーによる試合やショーの星取り評価は決して無視できない影響力を持っています。
1982年からレスリング・オブザーバー・ニュースレターを毎週発行し続けているメルツァーは、その週のプロレス界であった主要な試合に対する5段階の星取り評価を誌面に掲載します。これは「試合に対する最も一般的な評価」として業界内で認識され、彼により評価が団体のブッキングやストーリーに反映されることもあります。
しかし、あくまでメルツァー個人の好みに基づいた評価であることは否めず、全日本プロレスの「四天王プロレス」や2010年代の新日本プロレスの評価が特に高くなる傾向があることや、一部のレジェンドレスラーが一度も5つ星の評価を得られていないことに批判の声が上がっています。
先日、WWEスーパースターのセス・ロリンズは、メルツァーによる星取り評価を「愚か」と切り捨て、カート・アングルが5つ星を獲得したことのない評価に何の意味があるのか…と批判しました。これに対し、出演したPodcast番組の中で、メルツァーは次のようにコメントしています。
気にしてないよ。映画や料理、ビデオゲームのレビューと同じで、愚かなことなんだ。全部同じだよ。セスがいい試合だと言うなら、それは3つ星の試合。セスが素晴らしい試合だと言うなら、それは4つ星の試合だ。この2つは同じ意味なんだよ。
彼は、あるビデオゲームのレビュワーによる評価が大きな論争を巻き起こすことはない、と主張し、なぜ人々が彼の評価で大騒ぎ知るのかわからない、と率直な意見を述べました。また、プロレス界におけるレビューは彼が始めたものではなく、悪名高いジム・コルネットが始めたものだ…ということも明かしています。
コルネットが考案したものなんだよ。「Good、Very Good、Excellent」といったように、数字ではなく言葉で評価していた。
最初の頃は4つ星が一番いい評価だったんだけど、プロレス界全体の試合内容がどんどん良くなっていったから、5つ星を追加した。そして今では6つ星もある。俺が「6つ星も作らないとな」と思う前に、向こうが5つ星の壁を越えたんだよ。
メルツァー曰く、近年の星取り評価が以前と比べ全体的に甘くなっている、高得点がつきやすくなっているのには理由があり、単純にレスラーたちの技術が向上してより良い試合が増えたからだとしています。インターネットの普及によりレスラーたちが多くの優れた試合を見ることができるようになり、得られる知識も増えたことが背景にある、と彼は考えています。