引退を目前に控えるジョン・シナにとって、ビンス・マクマホンはただの上司を超えた存在です。
自身を売り出してくれた恩人、プロレス界やエンタメ界について教えてくれた師匠…。ビンスは様々な面で批判に晒されることも多く、特に2024年に元WWE女性従業員がビンスから性的虐待を受けたとして訴訟を起こしてからは「彼を褒めるなんて、とんでもない!」という雰囲気が醸成されています。しかし、それでもシナはビンスへの感謝や友情を忘れていません。
最新のインタビューで、シナは自身のWWEキャリアについて語り、新人時代の最大の師メンターは誰かと尋ねられました。シナはビンスの名を挙げ、プロレスビジネスがなぜそのように機能するのかについて、本当に納得のいく説明をしてくれる唯一の人物だったと振り返っています。
師匠、ビンス・マクマホン
間違いなくビンスだね。彼は本当に時間を惜しまずに接してくれた。何でも説明してくれたんだ。
彼は全ての選択とは言わないまでも、多くの決定を下す人間だ。俺はいつだって納得のいく説明を求めていたし、彼はいつも答えてくれた。その説明の中には、いつも金言が含まれていたよ。ビンスはこのビジネスのあらゆる側面に精通していたからね。
ビンスから学んだこと
俺は、ビジネスそのものにも夢中になった…興味を持つようになったんだ。自分自身のビジネス、つまり「どうすればここから最大限の金を搾り取れるか?」ってことじゃない。「ザ・ビジネス(業界全体)」のことさ。
どうすればアリーナにもっと多くの客を呼べるか? そういった多くの疑問に対して、まともな説明を持っているのはビンスだけのように思えた。そのおかげで、膨大な知識を俺の中に叩き込むことができたんだ。
俺は彼を完全に信頼していたし、彼も俺を完全に信頼してくれていたと思う。彼は挑戦することを恐れなかった。これも彼から学んだことだ。「大胆な挑戦を恐れるな」「失敗を恐れるな」「失敗の責任は自分で取れ」ってね。
(これからのWWEは、ビンスなしでも反映を続けられるか?という質問に対して)彼が成し遂げたこと、俺に教えてくれたことの中で、とても重要な教えが一つある。それは「かけがえのない人間などいない」ということ。これが真実だ。揺らいではならない唯一のものは、俺たちがやっていることに対する消費者の信頼だ。
起きてしまったことは不幸なことだと思う。あれほど深い知見を持ち、まだ何かを提供できる人物という井戸から、もう水を汲むことができなくなったんだからな。だが、クリエイティブな番組を作れる有能な人材がいないというわけじゃない。
ビンスへの愛
俺はビンスに去ってほしくなかった。彼を愛しているし、彼がどれだけこのビジネスを愛しているか知っているからな。でも彼は「俺たちは皆、いつかは去るんだ」と教えてくれた。俺たち全員だ。言葉だけでなく行動でも示してくれたよ。
彼がストーン・コールド・スティーブ・オースチンを解雇した日、俺はその場にいた。日程をすっぽかしたから、クビになったんだ。彼の最大のスターだったのにな。「これが許されないことだと皆に知らしめなきゃならない」って言ってたよ。だから、そういうことは起こる。「これはダメだと示さなきゃいけない。お前が出ていく時だ」ってな。
誰もが去っていくんだよ。誰もがね。だから、彼の言葉を借りれば…答えはイエス(WWEは大丈夫)だ。
シナは現在のWWEについて、「舞台裏の重要人物たちにアクセスしやすくなった」と表現しています。これは、ビンスが近づきがたい人物だったからではなく、彼の役割が現在では複数の人間に分散されたため。こうした形の方が、組織として持続可能性は高いでしょう。
(Wrestling Observer)
あわせて読みたい

