現地時間1月12日開催のPPV”Hard To Kill”で王者のサミ・キャラハンを撃破し、インパクト世界王座を奪い取ったテッサ・ブランチャードは、同王座史上初の女性王者という偉業を達成しました。しかし、その一方で、レイシスト疑惑が浮上し、海外ファンや一部プロレスラーの間で批判の声が上がっているのです。米女子プロレス界のスターに何が起きているのでしょうか?
事の発端は2人のレスラーによるテッサの差別発言の告発でした。”Hard To Kill”の前日、テッサの「女性レスラー同士支え合おう」という内容のツイートに対し、NWA女子王者のアリシン・ケイがこう噛み付いたのです。
日本で黒人女子レスラー(ラ・ロサ・ネグラ)の顔につばを吐きつけたり、彼女のことをNワードで呼んだことを覚えてる?
「日本で」というのは、2017年4月のスターダム遠征時のことでしょう。対戦こそないものの、2人はこの時期に揃ってスターダムに参戦しています。ラ・ロサ・ネグラは、ケイのツイートが事実であることを認め、テッサからの謝罪は期待していないと語っています。
このツイートに対し、NXT所属のチェルシー・グリーンは次のようにツイートしました。
あなたは、私を含め、数え切れないほどの女性レスラーをけなし、いじめ、軽蔑してきた。それがサポートだって言うの?
2人のツイートの内容について、テッサ自身は否定しました。しかし、その後、プリシラ・ケリーなど、複数のレスラーが2人と同じような内容のツイートを投稿したのです。黒人差別、そして同じ女子レスラーに対するいじめ。アメリカ社会では致命的な内容の告発です。
また、この騒動に付随する形で、「WWEがなぜテッサに契約のオファーを出さなかったのか」という話も話題になっています。テッサは2016年にNXTで3試合に出場したほか、2017年のメイ・ヤング・クラシックにも出場しましたが、WWEからのオファーはありませんでした。
レスリング・オブザーバーのデイブ・メルツァーは、「態度の問題」だとコメントしています。彼女が米女子プロレス界の中でも秀でた才能を持っていることは紛れもない事実。しかし、当時から彼女には「付き合いにくい」「態度に問題がある」という噂があり、彼女のことを嫌がるレスラーも多かったそうです。これが原因でインパクトと契約することになったようです。メルツァーは、インパクト側はこのことを知った上でオファーを出したと付け加えています。
偉業を成し遂げたとはいえ、乗り越えなければならない障害は山ほどあるようですね。四面楚歌の状態をどう覆すのでしょうか?
(Wrestling Observer, Wrestling Inc, Bleacher Report, Cultaholic, 411MANIA)