2016年に話題になった萩生田光一・官房副長官(当時)の「田舎のプロレス」発言。
強行採決なんてのは、世の中にあり得ない。審議が終わって、採決を強行的に邪魔をする人たちがいるだけでありまして。じゃあ、あの(野党の)人たちが本当に声を枯らせて質問書を破りながら腹の底から怒っているかといったら、『田舎のプロレス』と言ったらプロレスの人に怒られるが、ここでロープに投げたら返ってきて、空手チョップで一回倒れて、みたいなやりとりの中でやっている。ある意味、茶番だと思いまして、もうそろそろこういう政治のあり方は変えるべきだと思っている。
引用: 朝日新聞
この発言は「国会審議だけではなくプロレスにも田舎にも失礼」などのバッシングを招き、萩生田氏は謝罪に追い込まれました。今、アメリカでも同様の出来事が起きています。
ことの発端は民主党のティム・ライアン下院議員のツイートでした。
一般教書演説から引き上げたよ。もう十分だ。プロレスを見ているようだった。全部フェイクだ。
I just walked out of the #StateOfTheUnion. I’ve had enough. It’s like watching professional wrestling. It’s all fake.
— Congressman Tim Ryan (@RepTimRyan) February 5, 2020
現地時間2月4日に行われたドナルド・トランプ大統領の一般教書演説は雇用創出や株価上昇など経済分野の実績を強調する内容でした。その中にあった米兵とその家族が久々の再会を果たすシーンは「テレビのリアリティー番組を思わせる演出だった」と評され、トランプ氏から握手を拒否されて怒ったナンシー・ペロシ下院議長がスピーチ原稿を引き裂いてみせる一幕もありました。印象的なシーンの多い演説となったのです。
ライアン氏がどの場面について「プロレスを見ているようなもの」と言ったのかはかわりませんが、この発言にプロレス関係者から反発の声が上がっています。
AEWの実況アナウンサー、ジム・ロスはこうコメントしています。
他の多くの政治家と同じように、この発言はうかつで無知だ。あなたの仕事を我々の仕事と一緒にするな。
TNAで活躍したゲイル・キムも同様のツイートを投稿しています。
プロレスはフェイクじゃない。トランプが、でしょ?私たちは彼と同じカテゴリーに入れられるのにふさわしくない。
トランプ=予測不可能でニセモノ。
プロレス=あらかじめ決められているけど、肉体的にはリアル。
2人とも、トランプや政治家と一緒にされるのは絶対に嫌だという感情が伝わってくるコメントですね。
WWEのペイジなど、2人の他にも声を上げている関係者はまだまだいます。プロレスへの理解のない政治家がうかつにプロレスの名前を出すと叩かれるのは万国共通のようです。
プロレスがリアルなのかフェイクなのか、という点は長年プロレスを見ている日本のファンにとってはなかなかはっきりとした答えを出せないところですが、アメリカは違いますね。元プロレスラーが「あらかじめ決められているけど、肉体的にはリアル」と言っちゃう。間違いない!でも、「プロレスの魅力」はそれだけじゃない気がします。