巨人ウォルター。ヨーロッパのプロレス界を牽引し、多くの名勝負を生み出してきた名レスラーです。
NXT UKで活動していた彼は、アメリカ本土のNXTで活動していくことになりました。しかし、リングネームは変更されることに。公式サイトのプロフィールページには、彼の写真と「ギュンター」という名前が一緒に掲載されています。
WWEは、彼の新たなリングネームとして「ギュンター・スターク」という名称を考えており、商標も申請していました。しかし、この名前は第二次世界大戦期にナチス・ドイツ軍の潜水艦「Uボート」の司令官を務めていた人物と同じであることが発覚し、ファンから批判の声が上がりました。結局、WWEは商標申請を取り下げています。
レスリング・オブザーバーのデイブ・メルツァーは、「なぜウォルターのリングネームが変更されたのか」について考察しています。
まず、WWEとしては、実力者で大柄な「ウォルター」を毎週テレビに出演させたいと考えているようです。これから知名度をどんどん上げていきたい。……しかし、彼がいつかWWEを退団することになった時、WWEで上がった知名度を利用されてしまう可能性もあります。WWEには、「ウォルター」が他団体でこのリングネームを使って活動することを制限するような権限はないのです。
つまり、WWEとしては、これまで「ウォルター」というリングネームで活躍してきたヴァルター・ハーンというオーストリア人男性の知名度は上げたいが、「ウォルター」というプロレスラーの知名度は上げたくない、と考え、WWEでの活動において独自のリングネームを与えたかった……という話。
偶然にもナチのイメージが強いリングネームを与えられることになった「ギュンター」ですが、彼自身は非常にリベラルな思想を持っており、家系も労働者階級です。メルツァーによれば、「ギュンター」に親しい人たちは、「こうしたリングネームが付けられることを、彼が平気だと考えるとは思えない」という認識を持っていると指摘しています。
(Wrestling Observer, Cultaholic)