現代社会において、「批判」や「批評」というアクションは忌み嫌われるようになりました。否定的な文脈で用いられる「批判」はともかく、良い点と悪い点を客観的に指摘する「批評」は本来ネガティブ一辺倒な言葉ではないのですが、ネット時代においては、もはや「批判」と同一化したきらいがあります。
ネット時代。匿名だろうが実名だろうが、誰もが同じ「サイズ」の意見を公表できるようになった時代。素人がプロに対して上から目線のメッセージを直接届けることができるようになった技術の進歩。これは、表舞台で活動するパフォーマーたちにとってはいいことばかりではありません。
WWEのエンジェル・ガルザは、現代社会を「批判の時代」と呼び、ネガティブな考えを持っています。Wrestling Incによるインタビューの中で、彼は次のように語りました。
俺たちは、何をしようがファンたちから常に批判される。トップに立ったとしても、「ああ、団体はあの男にすべてを捧げているんだな」と言われ、24時間365日走り続けても、「ああ、団体はあの男を埋もれさせようとしているんだな」と言われ、素晴らしい働きをしても、「ああ、団体はあの男をプッシュしようとしているんだな」と言われ……ってね。いろんな意見を伝えてきて、決して満足しない人たちだ。
時にはそれ以上のこともある。「ああ、君はエゴイストだから、自分のことだけを考えているんだろ」とか言われるよ。そうとも。人間ってそういう生き物だろ?
仮に、俺がファンの仕事について、あれをしろこれをしろなんて言ったら?その人が自分のやり方でやっていることに文句を言ったらどうだ?「君はなんでマイクをそんな風に持つんだ?違う持ち方をしろよ」なんて批判したらどうよ?どうやったとしても、俺は文句を言うぞ。
今、俺たちについているファンはみんなそういう人たちだ。このビジネスの一部ではあるんだけど、そういう時代になっちゃった。俺は「批判の時代」と呼んでいるよ。
「ファンの中にはそういう人もいる」ということであって、すべてのファンが選手たちへ常に文句を言っているわけではありません。しかし、そうした意見がたくさん目に入ると「みんな」だと感じてしまうでしょうね。だからといって、「ファンは意見を持つな」とも言えないし…。決して解決しない、難しい問題ですね。