海外プロレスを構成する要素の1つにDirt Sheetがあります。
プロレス界の裏側を報じたり、選手や関係者たちにインタビューして情報を聞き出したりするウェブメディアです。日本のプロレスメディアとは毛色が異なり、Dirt Sheetの代表格であるレスリング・オブザーバーがそうであったように、メディアは個人でも立ち上げることができ、取材力さえあればプロレスファンの信頼を勝ち取って大手になることができます。
Dirt Sheetは各団体の関係者とコネクションを持ち、団体内の情報を聞き出して報じます。業界最大手のWWEはもちろん、AEWにも情報をリークする関係者がいて、彼らのおかげでプロレスファンがあれこれ妄想できている、という側面があります。しかし、団体の上層部からすれば、「勘弁してほしい」という思いもあるようです。
新日本プロレスとの合同興行「Forbidden Door」終了後の記者会見の中で、AEWのトニー・カーン社長は、最近の情報リーク(オレンジ・キャシディの入場曲が変更される、というもの)について語りました。
このケースでは、キャシディがインディ時代にずっと使っていた曲について、ネットで話題になっていたんだよね(現在使われている入場曲から、インディ時代の曲に変更される、というリークがあった)。残念なことだけど…俺はバックステージのみんなが大好きだよ。ただ、ブロディ・リー(2020年に逝去)の病気について、ちょっと思うところがあって。アマンダ(リーの妻)が会場で彼の病気を明かした時、スタンドには100人くらい人がいたんだ。あれから新顔も増え、古参もたくさん残ってるけど、そのことについて誰もリークしなかった。生死に関わることであればバックステージのみんなを信頼できるんだけどさ。いろんな情報が漏れてるって知ってしまってね。本当に恥ずかしいことで、そんなことやっちゃダメだよ。
キャシディのケースもそのうちの1つだ。ファンの盛り上がりを台無しにしてしまった。それでもすごく盛り上がってくれるとは思うけどね。ローマは一日にして成らず、だ。もし実現すれば大きな話題になるようなことも、事前にリークされてしまうなんてこと自体が馬鹿げてるよ。ショーン(・ロス・サップ。大手Dirt Sheetの1つであるFightfulの運営者で、キャシディの件を報じた張本人)にも言ったけど、報じることは別にいいんだ。でも、なんでDirt Sheetにリークするんだよ、って話じゃないか?記事を読んで驚いた。ファンのための楽しいサプライズを台無しにするようなことだろ?
こうしたケースは今後も絶対になくならないと思います。そこも含めてアメプロの面白さだと思っていますが、社長の立場だと大変でしょうね…。
例えば、Forbidden Doorに柴田勝頼がサプライズ登場することはまったくリークされておらず、それがファンを喜ばせることにもつながりました。こういうことを積み重ねていきたい、と思っているはずです。
(Cultaholic)