高評価の番組を作りながらも、視聴者数は伸び悩み、番組収録のチケット売上も減少しているAEW。
ここ2年ほどのAEWは、プロレス団体の運営の難しさを体現していると言えるでしょう。積極的に話題を作り、スターレスラーたちと契約し、注目を集めるカードをブッキングし、高評価の番組を作り……。しかし、それでも番組の視聴率は伸び悩んでいます。かつてのDynamiteは平均視聴者数が100万人を超えることもありましたが、2024年に入ってからは80万人台をキープし、90万人台の壁を超えられずにいます。2023年の不調が続いている状況です。
番組収録のチケット売上は、Forbes誌が「最近のAEWは、廃墟と化した空っぽの会場でプロレスをしていると言うべきだろう」と書くほど苦戦中。レスリング・オブザーバーのデイブ・メルツァーは「土曜日の夜に開催されるCollisionのチケット売上が3000枚を下回るのは酷い結果だ」と指摘していますが、永田裕志 VS ブライアン・ダニエルソンが行われた現地1月27日のCollisionは入場者数2,134名でした。
しかし、現場は強い意志で番組制作を続けています。レスリング・オブザーバーによれば、現在のAEWは「ここ最近で一番士気が高い」とのこと。CMLL勢の参戦やスティングの引退ロードなど、団体内部が盛り上がる要素は複数あります。あとは、その熱意を番組の数字に反映させられれば…。
現地3月13日にボストンで開催されるDynamite特別大会「BIG BUSINESS」は、メルセデス・モネ(サーシャ・バンクス)のデビューが本命視されていることもあり、チケットが発売開始から5時間で4,000枚以上も売れました。3月のPPV「Revolution」も約16,000枚のチケットが売れています。
プロレスファンをAEWに注目させることには成功している。しかし、テレビの視聴者層へのアピールが欠けている…。AEWにとって、今年はDynamiteのテレビ放送権の交渉に取り組む非常に重要な年です。トニー・カーン社長がどのように舵を取るのか、目が離せません。
(Wrestling Observer, WrestlingNews.co)