2000年代のWWEは、過激な内容を放送していたそれまでのスタイルから、ファミリー層向けの番組制作にシフトチェンジする過渡期を迎えていました。
2008年7月、WWEの番組に「ファミリー層向けのテレビ番組向けレイティング」であるTV-PGが取り入れられたことで、その後現在まで続くPG Eraが始まりました。その中心的存在はジョン・シナ。彼は幅広い層から愛され、現在はハリウッドで人気俳優として活躍しています。
しかし、2024年に入って、何度か「PGの壁」にヒビが入る出来事がありました。WWEの親会社TKOの取締役に就任し、PG Eraが始まる前のWWEでビッグスターとして活躍していたザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)が復帰し、コーディ・ローデスとの抗争の中で口汚い言葉を使ったり、コーディの頭部から流血させたりと、PG Eraでは避けられてきたシーンを何度も放送したのです。
また、2024年度のWWE殿堂入りを果たしたポール・ヘイマンは、殿堂入りセレモニーでのスピーチの中でECW時代の言葉を彼らしい言葉で堂々と語り、大きな話題になりました。
1993年、この業界はクソみたいな状況だった。裏でろくでもない連中が跋扈していたな。俺はそんな状況を変えたかった。だが、当時は『黙れクソガキ』と一蹴された。WCWの連中は誰もこの賢者の言うことを聞かなかった。
ヒップホップを、ヘビーメタルを、セクシーなおねーちゃんをレスリングにブチ込んだ中で屈強な男たちが殴り合う空間を作りたかった。それはフィラデルフィア(ECW)以外では絶対に興り得なかった!ストーン・コールドが一番最初にビールを飲んだのはECWアリーナだ!エリック・ビショフのクルーザー級というアイディアをレイ・ミステリオがパクったのもECWアリーナだ!ダッドリー・ボーイズが『テーブルを持って来い!』と叫んだのはどこだ?ロブ・ヴァン・ダムがマリファナを吸ったのはどこだ?
俺たちは時代の最先端を行き、この業界を変えたと言っても過言ではない。ECWはまだ生きてるんだ!今このリングで繰り広げられているものを見て分からないか?ECWはまだ生きてるんだ!ECWの魂が滅びたと思っている奴がいるなら、そいつはXXXX野郎だ!
引用:バトルニュース
レスリング・オブザーバーによれば、WWE内部では「ロックとヘイマンのプロモは、PG Eraの公式な終わりだと考えられている」そうです。とはいえ、すぐにテレビ番組の内容が変わるわけではない、とのこと。また、PG Eraの終わりは正式に決まったわけではなく、終了についての議論は続いているそうです。
今後、RAWはNetflixで、SmackDownはCWでの放送に移行します。そのタイミングで、「それぞれのパートナーが何を望むか」に基づいて決定が下されるだろう、とのこと。
かつてのWWEでは、なんとしてでもPGを維持しようとする取り組みが行われてきました。しかし、今後はそうしたことはなくなっていくでしょう。
(Wrestling Observer, WrestlingNews.co)