先日のDynamiteで行われた MJF VS ブロディ・キング戦で起きた「Fuck ICE!」チャントが、プロレスの枠を超えて大きな話題になっています。
このチャントは、ファンからキングへの支持表明、および政治的批判という2つの側面を持ちます。キングは以前からICE(アメリカ移民税関捜査局)の移民への強硬な姿勢や人権侵害の疑いに強く反発してきました。
HUGE “FUCK ICE” CHANTS TO START THE MAIN EVENT! #AEW #AEWDynamite
— Self Made AO 💫 (@KXNGAO) February 5, 2026
アメリカの大手ニュースチャンネルCNNは、この件に関する記事を掲載し、専門家の分析や業界内の政治的対立構造について報じました。
ニューヨーク州立大学バッファロー校の演劇教授であり、プロレス史を研究しているエーロ・レインは、今回の反ICEチャントが注目に値する理由について、リング上の展開とは直接関係がなく、従来のプロレスチャントの定型にも当てはまらない点だと指摘しています。
興味深いのは、あるレスラーに関連した政治的スタンスを支持している点だ。でも、必ずしもリング上の出来事に直結しているわけじゃない。それに、このチャントは標準的なプロレスチャントのレパートリーにはないものだ。
さらにレインは、レスラーが思想を「体現」することで、ファンが試合中にその思想に対して声援を送ったり、ブーイングしたりできると付け加えました。
リング上で2つの思想が戦うのを実際に目撃できるし、それぞれに声援やブーイングを送れるんだ。つまり、リング上ではある種の道徳劇が機能している…とも考えられる。
また、記事の記者は親ドナルド・トランプ政権のWWEとリベラル色の強いAEWが「政治的な影を帯びたライバル関係にある」とし、AEWの番組を放送するテレビ局の親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーがAEWの少数株主であることも明らかにしています。
現代的な問題を取り入れることは、業界内で展開されている、より大きな、政治的要素を含んだライバル関係の一部だ。
それは、創設7年のAEWと、何世代にもわたって業界を支配してきた巨大組織WWEとの間のものだ(CNNの親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、AEWの少数株式を保有している)。
CNNの記事や見立てに対し、レスリング・オブザーバーのデイブ・メルツァーは、「WWEもAEWも政治に関してどちらか一方の側を支持しているとは見られたがっていない」と指摘しました。とはいえ、WWEがトランプ政権と緊密な関係を持っていることは、HHHが政権のイベントや委員会などに参加していることなどからも明らかではありますが…。
問題なのは、AEWには「反WWE組織であってほしい」と望み、WWEとトランプとのつながりに目を向ける人々がいたことだ。しかし、AEWもWWEも、観客の大部分を遠ざけることを恐れて、どちらかの側を支持しているとは絶対に見られたくないと思っている。
もっとも、HHHとトランプの関係や、トランプ政権で教育長官を務めるリンダ・マクマホンのWWEでの経歴、そして彼女がHHHの義母であることから、WWEにとっては難しいことなのだが…。
プロレスと政治をめぐる話題が、大学教授によって分析されるのは面白いですね。ちなみに、CNNもワーナー系列なので、同じ系列内で起きた出来事を大々的に紹介した…という形になります。


(Wrestling Observer)
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