プロレス界では、人種や性別、バックグラウンドとなったスポーツなどを参考に「ステレオタイプ」なレスラー像を演じることが求められることもあります。
主に白人男性レスラーが脚光を浴びてきた団体であるWWEでの活動初期において、黒人レスラーのシェルトン・ベンジャミンは「いかにも黒人的なレスラーを演じること」への葛藤がありました。最新のインタビューで、彼は当時の心境やエディ・ゲレロから得たアドバイスを語っています。
当時、WWEは彼のコーチ役としてレジェンド黒人レスラーのアーニー・ラッドを招き入れました。アントニオ猪木との対戦経験もあるラッドは、彼に対して「黒人らしい攻撃をするんだ」とアドバイス。「ステレオタイプな黒人レスラーにだけはなりたくない」と考えていたベンジャミンはこれに困惑し、エディに助言を求めました。
ある時期の話だ…たぶん、俺が初めてインターコンチネンタル王者になった最初の頃だったと思うんだけど…WWEがアーニー・ラッドを呼んで、俺にコーチングをしてくれることになったんだ。
彼は、これまで誰からもアプローチされたことのないような角度から俺に接してきたよ…彼は俺に「黒人のスーパースター」になってほしかったんだ。「黒人らしい攻撃をしろ。ヘッドバットを使え、そのデカくて黒いケツを振るんだ」ってね。
本当に混乱したよ…頭の中では、ステレオタイプな黒人アスリートにはなりたくないって思っていた。彼は俺を2000年代のジャンクヤード・ドッグにしようとしているんじゃないかってね。
それで、エディに電話して状況を説明したのを覚えている。「混乱しているんだ。彼が指導するように、黒人のステレオタイプを演じるべきなのだろうか?」って聞いたんだ。
するとエディはこう言った。「いいか、俺はメキシコ人だ。自分の文化の中で、仕事に取り入れている部分もあるし、自分のルーツを誇りに思っている。でも、俺は一人のスーパースターでもあるんだ。メキシコ人のスーパースターじゃない。たまたまメキシコ人だったスーパースターなんだ」ってね。そして、「それはお前自身が決めることだ」と言ってくれた。
俺は「なるほど、すごく腑に落ちたよ」って感じだった。その後、ビンスとも話したんだけど、ビンスもエディとまったく同じことを言っていた。「いや、違う、違う。君は黒人のスーパースターじゃない。たまたま黒人だったスーパースターなんだ」ってね。だから俺は、ステレオタイプなラッパーとか、不良みたいなギミックを避けてきたんだ。
参戦してきた各団体で愛されてきたベンジャミン。現在はAEWに所属し、MVP&ボビー・ラシュリーと共にハート・シンジケートのメンバーとして活躍中です。いつか再び日本の団体にも参戦してほしいですね。そして、エディのようなレジェンドから受け継いだ知見を若い世代に継承してほしいです。
(Fightful)
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