メキシコで活動する大手ルチャ・リブレ団体として知られるCMLL。ルチャ・リブレ文化を象徴する老舗団体は、WWEによる大きな一手に警戒感を強めています。
2025年のレッスルマニア41開催前、WWEはメキシコのルチャ団体AAAの買収を発表しました。CMLLに次ぐ規模のルチャ団体であるAAAを通して、WWEはメキシコ・中南米での人気拡大や「選手の育成拠点」の確保に成功。CMLLや、CMLLと提携している新日本プロレス&AEWの立場を脅かしています。
メキシコのルチャ専門誌SuperLuchasの編集長エルネスト・オカモによれば、「WWEによるAAA買収」についてCMLLは警戒心を強めており、今後は100%メキシカンのルチャ・リブレを提供する団体だという誇りを打ち出していくようです。
だからこそCMLLは「100%メキシコ人によって運営される団体だ」と強調し始めた。番組内でも、「本物のメキシコン・レスリングはここにある」「アレナ・メヒコが存在する限り、ルチャリブレは決して死なない」とアピールしている。彼らはこの状況に非常に興奮しているようだ。
WWEは、買収したAAAの今後について「引き続き伝統的なルチャ・リブレを提供し続ける」と発表しています。そもそもAAAはCMLLに反発する形で生まれた団体ということもあり、CMLLのWWEへの対抗心がより一層強くなっているようです。
その一方で、CMLLは弱気になっている側面もあります。オカモによれば、CMLLが新たに進めていた選手たちとの契約体型や番組構成の変更案は、WWEによるAAA買収で凍結状態になっているといいます。
この「契約体型の変更」は、新日本やCMLL、RevProなどの友好団体への出場枠を明確にする高額契約を結ぶことが目的だったとされています。それが凍結状態になったことで、選手たちのCMLLへの忠誠心が薄れ、WWE&AAA連合による引き抜きに対して無防備になってしまっている……とオカモは指摘しています。
現在、メキシコで注目されているのはAEWがCMLLと協力して開催する6月のメキシコ大会。一部では、これがWWE幹部たち(HHHやショーン・マイケルズら)によるスカウト活動の場になり、事実上の「WWEによるトライアウト」担ってしまう可能性が指摘されています。CMLLとしては、人材の大量流出を招きかねない状況です。
WWEによるAAA買収は、メキシコ国内のルチャ・リブレ市場を掻き回すことになりそうです。日本のプロレスファンも、今後のルチャ・リブレ界の動向に注目しなければなりません。コロナ禍が起こる前、WWEはNXT Japan構想の実現に向けて動いていたようですから…。何が起こるか分かりません。


(Cultaholic)
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