2019年10月31日に開催されたWWEのサウジアラビア大会”Crown Jewel”。話題になる試合はいくつかありましたが、プロレス史的にはナタリアとレイシー・エヴァンスによるサウジアラビア史上初となる女性レスラー同士の試合が最も重要な試合だったのではないかと思われます。
サウジアラビアでは女性の人権が制限されており、女性は外出時にアバヤという全身を覆い隠す民族衣装を着用することが義務付けられています。ナタリアとエヴァンスも肌を露出しないコスチュームを着用して試合に挑みましたが、ナタリアの入場時に客席からゴミが投げ入れられるなど、会場のファン全員がこの試合を受け入れているわけではないのだという光景も見られました。
実際、この試合に対するサウジアラビア国民の反応はどのようなものだったのでしょうか?現地ジャーナリストのMr. KingがWrestling Incの取材で次のようにコメントしています。
歓迎する人もそうではない人もたくさんいました。100%の人間が同じ意見になることはない、というのは当たり前のことです。こうした意見や言葉が出てくることは理解できます。国に変化が生じることは彼らにも変化をもたらしますから。彼らの意見を尊重する必要があると思いますね。
やはり、どちらの意見も見られるようです。しかし、Mr.Kingはこの変化を歓迎しているといいます。その理由は……
この変化は我々にとって大きなことで、私は嬉しいです。エンターテインメントに関しては、できないことがたくさんありました。映画を見る場所もありませんでしたからね。でも、先月『ジョーカー』を見たんです。映画を見たり、コンサートに行ったりするのは夢でした。本当に嬉しいんですよ。国が状況を変えようとしてくれているおかげでいろんなイベントが開催されるようになりました。プロレス以外にもたくさん。
ナタリアとエヴァンスの試合はこうした変化の一環なのでしょう。サウジアラビアで暮らす人々にとって、娯楽が増えることはいいことです。今後もサウジアラビアで女性レスラーの試合が行われるかどうかは不明ですが、いい意味で話題になっていけばいいと思います。