先日放送されたDynamiteでの、鈴木みのるとサモア・ジョーによるROH世界TV王座のタイトルマッチは名勝負になりました。
体格差もあり、みのるが技を繰り出すのに苦労するシーンもありましたが、ジョーの身体が真っ赤になるほどの激しいチョップの打ち合いは見もの。試合に勝利したのはジョーでしたが、みのるがAEWでリスペクトされていることがよくわかる一戦でした。
さて、この試合の後、ジョーと抗争中のジェイ・リーサル & サンジェイ・ダットは、巨人サトナム・シン(26)にジョーを襲撃させました。バスケットボールのトップリーグ、NBAのドラフトで初めて指名されたインド人という経歴の持ち主で、身長221センチ。WWEで活躍したザ・グレート・カリが身長216センチですからね…。一部では知名度が高く、Netflixでは彼のドキュメンタリー番組が配信されています。
彼のデビューについては様々な情報が流れています。まず、彼がプロレス界進出を最初に目論んだのは2017年。WWEのトライアウトを受けたものの、契約には至りませんでした。その後、2021年9月にAEWと契約し、最近まで温存されていたのです。
レスリング・オブザーバーによれば、彼のデビューはインド市場へのアプローチの一環とのこと。本国アメリカでは、AEWのテレビ番組はワーナーメディア系列のテレビ局(TBS、TNT)で放送されていますが、ワーナーメディアは4月8日にディスカバリー(ディスカバリー・チャンネルやアニマルプラネットを所有するメディア・コングロマリット)との合併を完了させたばかりです。これに伴い、今後、このディスカバリー傘下の「Eurosport」というテレビ局が、インドでAEWの番組を放送することになります。実は、みのる VS ジョーが行われたこの日のDynamiteは、Eurosportでの放送第1回だったのです。そこでインドのファンにインパクトを与えるべく、トニー・カーン社長が用意したものこそ、シンのデビューだった、とのこと。
ただし、シンのデビューには賛否両論あり、せっかくジョーが古巣ROHのタイトルを獲得したのに、そのインパクトが薄れてしまったと考えるファンも多いようです。こうした声に対し、トニーはPodcast番組「Busted Open Radio」で持論を語っています。
もっといいやり方があったかもしれない。もう少し違うやり方がよかったかも、と思うこともあるよ。
(サイが登場する時に会場の照明が消えたため、ビッグネームの登場を期待するファンが多かったことについて)正直なところ、照明を消すのは俺のアイデアではないんだよ。ただ、俺はすべての決断を下す立場だからね。ショーのアウトラインをまとめ、水曜日に会場へ行った時は、今までで最高のアウトラインだと思っていたんだよ。少なくとも、ベスト級の1つではある、と。
みんなは気に入らなかったかもしれないね。でも、サトナムは我々にとって重要な人物なんだ。彼を有意義な形でデビューさせ、ジェイ・リーサルと共に彼が力を発揮するところを見せるのが重要だった。そして、照明が消え、誰も知らない人物が登場するのは素晴らしいポイントだと思う。正直、このアイデアを出してくれたのはキャリア30年以上のベテランだ。その話を持ちかけられた時、俺にはメリットしか見えていなかった。デメリットも考えるべきだったね。部屋にはたくさんの人がいたのに、そのアイデアが出た時はなぜか一人もマイナス面について発言しなかった。そして、いざやってみると、すべてのマイナス面がかなり明白になってしまったんだ。
話題にはなったと思う。サトナムのデビューは、この番組の歴史上最も注目されたものだったし、国際的な注目も集めることができた。俺が狙っていたものだ。
デビューの演出がうまくいかなかったとはいえ、それはサトナムの今後の活躍次第でどうにでもなります。WWEでさえ順調とは言い難いインド市場の開拓。どうなることやら…。