2019年に設立されたAEWはスポーツライクなプロレスを標榜しており、副社長に就任したCodyやヤング・バックス、ケニー・オメガがインタビューで団体の特徴を「アスレチック」だと発言していたこともありました。
それだけに、無気力キャラのオレンジ・キャシディが初期メンバーとしてAEWと契約した時には一部のファンから批判的な意見が上がったこともあります。今では団体屈指の人気者になったキャシディですが、多くのファンからの信頼を獲得するまでには長い道のりがあったのです。
2022年、AEWは元ROHのダンハウゼンと契約しました。「Very Nice, Very Evil」ことダンハウゼンは不思議な悪魔キャラで、名勝負を生み出せるわけではなく、そのキャラクター性がファンから評価されるタイプのレスラーです。
彼とキャシディに共通しているのは、その際立ったキャラクター性がこれまでプロレスに興味を示さなかった層にもアプローチできていること。プロレス界への貢献は決して低くありません。HardLoreによるインタビューの中で、ダンハウゼンは「吾輩とキャシディによる新規プロレスファン層の開拓」について語りました。
吾輩とオレンジ・キャシディは、「こんなもんプロレスとしてはベタすぎるだろ」とイチャモンを付けたがる人たちにとっては定番の批判先なんだよね。その一方で、「私の友達はプロレスが嫌いだけど、あなたたち2人のことは好きらしいよ」と言ってくれる人もいるし、「プロレスはあんまり見てないけど、あなたたち2人のおかげでちゃんと見るようになったよ」と伝えてくれる人もいるんだ。
このことは何を証明しているのか?つまり、2人が新しいファン層を開拓していることを証明しているんだよ。レスラーとしてやるべきこと、プロレスラーとしてあるべき姿だ。吾輩とキャシディを含めて、実際にできているのはほんの一握りだけどな。吾輩はいろんな人から声をかけられるけど、「プロレスはまったく見たことないけど、君のことをYoutubeで見たよ」と言って挨拶しに来る人がたくさんいるよ。
素晴らしいじゃないか?つまり、吾輩はダンテ・マーティンのようなアスリート性とは無関係に新しいファンを生み出しているんだ。吾輩をきっかけにAEWを見た新しいファンが、「Oh、あの奇妙なヤツのおかげで私はブライアン・ダニエルソンやダンテ・マーティン、ジェイド・カーギルを知ることができた」と思ってくれているんだよ。
AEWには優秀なレスラーがたくさんいますが、彼らを知るきっかけがダンハウゼンというのは、ある意味幸せな出会い方かもしれません。彼の存在はこれからもAEWにとって重要なものであり続けるでしょう。