近年、エンタメ業界ではFAST(Free Ad-Supported Streaming TV)と呼ばれる形態の配信サービスへの注目が集まっています。
簡単に言ってしまえば、FASTは広告付きの無料配信サービスのこと。視聴者は番組を無料で視聴できる代わりに広告を見る必要がある、というものです。視聴者が複数の「専門性のあるチャンネル」を選ぶ形式で、近年の動画配信サービスには付きものの「選ぶ」という手間をかけずにコンテンツを視聴することができます。日本では、ABEMAがFAST的なコンテンツだと言えるでしょう。
AEWの番組を放送するテレビ局の親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーもFAST業界への進出に着手しており、2023年1月には15本のFASTチャンネルを立ち上げました。AEWもこの流れに乗る可能性があるようです。
最新のインタビューの中で、AEWのトニー・カーン社長は、今後のストリーミング収入を得るための手段としてFASTへ参入する可能性があることを明かしました。
我々が歴史的なコンテンツの素晴らしいライブラリを構築するにつれて、FASTへ参入する可能性がますます増えていくと思う。
トニーは、アメリカ国内でのストリーミング配信の方針をワーナーと協力しながら決めていく必要があると語っており、FASTはその選択肢の1つなのでしょう。6月から新番組Collisionが始まるAEWは毎週5時間のテレビ番組を放送し続けることになり、コンテンツのライブラリはどんどん膨大なものになっていくはずです。
ABEMAでは複数のプロレス団体がコンテンツを配信していますが、もし単独でチャンネルを運営するようになれば、その宣伝効果はさらに大きなものになるでしょう。WWEはFAST進出を検討すらしていないようなので、AEWはこの分野の先駆者になれるかもしれません。