2020年、新型コロナウイルスのパンデミックにより観客を会場に動員して番組収録することができなくなってしまったWWEは、会場に無数のモニターを配置し、そこに自宅で観戦するファンの映像を映すという「ThunderDome」スタイルでの収録に踏み切りました。
実際の観客がいない中でのパフォーマンスを強いられた選手たちは試行錯誤を繰り返し、うまく適応できた人もいれば、そうではなかった人もいました。WWEの歴史上最もユニークな番組制作スタイルだったこの時期は、永遠に忘れられることはないでしょう。
当時WWEのトップスターとして活躍していたダニエル・ブライアン(現AEWブライアン・ダニエルソン)は、最新のインタビューでThunderDomeのコンセプトが大好きだったことを明かしました。プロレス業界の伝統的な「劇場型」スタイルではなく、「映画型」スタイルでの活動が求められ、そこに見事に適応できたことを誇りに思っているようです。
大好きだったね。本当に好きだったよ。なぜなら、あれは他とは違うものだったから。何もかもが違うんだ。
「観客がいない前でやっている」ということじゃない。「メディアが変わった」という考えだ。例えば、アメリカのプロレス界ではPodcastをやっている人が多いよね。でも、音声だけじゃなくYoutubeなどでの映像配信も取り入れると、やり方が少し変わるよね?
聴覚だけで楽しむPodcastと、視覚でも楽しめる映像配信は全くの別物だ。これは劇場と映画の違いのようなものだと思っていてね。伝統的に、プロレスは劇場に近いんだ。でも、パンデミック中にやらなければならなかったのは映画なんだよ。
あの頃、俺はこう思っていた。劇場から映画への変化に適応する必要があるんだということに気付いていた人は本当に少ない、と。あの変化に適応できたのは本当に誇らしいことだよ。誰よりも適応できたと思ってる。
(Inside The Ropes)