先日開催されたPPV・WrestleDreamのメインイベントは、AEW世界王者ブライアン・ダニエルソンとジョン・モクスリーによるシングルマッチでした。
この試合への道のりは複雑。まず、9月のニューヨーク大会Dynamite: Grand Slamで、ブライアンはダービー・アリンの挑戦を受ける予定でした。
しかし、9月のPPV・ALL OUTでブライアンを襲撃してヒールターンしたモクスリーがアリンとAEW世界王座への挑戦権を賭けた試合をすることに。この試合に勝利したモクスリーがWrestleDreamでブライアンと対戦することになりました。
元々、ダービーがGrand SlamかWrestleDreamでブライアンを倒してAEW世界王座の新チャンピオンになるということが団体内部で真剣に検討されていました。WrestleDreamの開催地ワシントン州はブライアンとダービーの出身地。タイトル変更にふさわしい場所でした。Grand Slam開催前の時点で、計画が変更されたことは明らかです。
そして、WrestleDreamではモクスリーがブライアンを下してAEW世界王座を獲得。試合後はBlackpool Combat Club総出でブライアンを暴行し、病院送りにしました。ダービーはブライアンの救出を試みましたがコーナーポストに拘束され、ブライアンが痛めつけられる様子を見つめることしかできませんでした。
レスリング・オブザーバーのデイブ・メルツァーによれば、本来の計画ではWrestleDreamでブライアンを倒すのはダービーになる予冷だったそうです。WrestleDreamがタイトル変更の場に選ばれたのは、開催地ワシントン州が2人の出身地だから。上記の憶測と一致しています。
しかし、ALL OUTでモクスリーがブライアンを襲撃したことにより方向性が変更されたのだそうです。メルツァー曰く、これは「団体への関心を喚起しようとする試み」だったとのこと。おそらく、トニー・カーン社長を中心とするクリエイティブ・チームは、ALL OUTでのモクスリーのヒールターンが大きな話題になったことで、知名度も抜群のモクスリーをこのまま暴走させてブライアンを倒したほうが、ダービーがブライアンを倒すよりも話題になると考えたのでしょう。
地元の先輩からタイトルを奪う……というアイデアは実現しませんでしたが、ダービーはアンチモクスリーの先頭に立つビッグベビーフェイスになりました。彼のキャリアを考えれば、モクスリーとの長期的な抗争はプラスになるでしょう。
(Wrestling Observer, Wrestling Inc)