2019年4月、新日本プロレスはROHと合同でマディソン・スクエア・ガーデン大会”G1 SUPERCARD”を開催しました。WWEとの関係性が非常に強い会場で非WWEの団体が興行を打つ、というのは偉業です。MSGでは60年近くマクマホン一家が所有しているプロレス団体しか興行を開催していなかったそうですから。
ROHの親会社であるシンクレア・ブロードキャスト・グループの尽力によって実現した”G1 SUPERCARD”は、ROH側のカードには賛否両論あったものの、新日本側のカードは軒並み好評でした。新日本は手応えを感じたはずです。
レスリング・オブザーバーによれば、新日本は今年の8月に再びマディソン・スクエア・ガーデンで興行を開催したいと考えており、MSGと交渉を行っているそうです。2020年の夏は東京オリンピックが開催されるため、この時期に海外に行くことを強く望んでおり、2019年に成功を収めた大会場で再び興行を打つことに決めたようです。
WWEが”G1 SUPERCARD”の開催を妨害しようとしたことは有名な話です。今回もWWEが何らかの形で動くことが予想されますが、“G1 SUPERCARD”のチケットは販売開始から1日で完売したという実績があるため、MSGはWWEの妨害を無視するだろう、とデイブ・メルツァーは述べています。
もちろん、当時と今とでは状況は異なります。”G1 SUPERCARD”の観客動員数は16,534人。チケットが即完したのは、開催日がレッスルマニア・ウィークエンド中だったことと、抜群の海外人気を誇っていたThe Eliteの存在があったからでしょう。アメリカでの新日本の単独公演の観客動員数は最大でも6000人程度。これもEliteがいた頃の話です。
ケニー・オメガやコーディ・ローデス以上にアメリカのファンを集められる人材が今の新日本にはいるのか?ジョン・モクスリーやクリス・ジェリコの名前を思い浮かべる人もいるでしょうが、2人はAEWとフルタイム契約を結んでいるレスラーです。2019年のG1CLIMAX開幕戦はテキサス州ダラスで開催されましたが、G1にエントリーしていたモクスリーは出場が許可されませんでした。
新日本が独力でチケットを完売させるのは大変かもしれません。
(Wrestling Observer, Cultaholic)