2021年11月にAEWを退団した女性レスラーのビッグ・スウォールが、自身のPodcast番組で「AEWが抱える構造の問題」を指摘し、それにトニー・カーン社長が反論するという出来事がありました。
スウォールはAEW古参の一人。初期のDynamiteによく出演していましたが、新型コロナウイルスのパンデミックが起きた頃からAEW Darkでの出番がほとんどになっていました。
Podcastで彼女が語っていたのは、「わたしの心の平和が乱されるのは嫌だから、再契約はしなかった」ということ。
社長のトニーが主導する団体運営について、「ルーズなのはいいが、もう少し構造的な方がいい」と指摘。男性レスラーに比べて女性レスラーに与えられる時間が少ないという、AEWを見ているなら誰もが気付く問題点への不満を明かしました。ロースターは増え続けるが、番組の放送時間や出演可能なレスラーの数は全体の人数に見合っていない…。早急に改善しなければならないことです。
また、団体のクリエイティブをトニーが主導し、「ある意味でライターがいない」状態で番組制作が実行されていることについて、「シャイだったり、自発的なクリエイティブさに欠けるレスラーはうまくいかない」ということも批判的に述べています。彼らがうまくいくには、トニーが成功を望まなければならない…。
また、人種・文化的多様性が団体に欠けていることも大きな問題だと指摘しています。AEWばかり見て、WWEをほとんど見なかった彼女の娘が、「AEWには私やパパ(セドリック・アレキサンダー)みたいな人がいない」と言い出し、ビッグEとビアンカ・ブレアのためにWWEを見るようになったことを例に挙げ、AEWには黒人文化をレペゼンする存在がいない、という欠陥を批判しました。
黒人だけではなく、ラテン系やヒスパニック系、アジア系を増やしてほしい。アジア系とインディアンは団体に愛されていない気がする。
団体内部にいた人物がここまでAEWに厳しい意見を語るのは初めてな気がします。もちろん、スウォールは団体の発展を願ってこう言っているわけですが。
この声に対し、トニーはツイッターで反論しました。
AEWの重役のトップ2は褐色人種(俺とメガ・パーリク)だよ!!ジェイド・カーギル、アンソニー・ボーエンズ、マックス・キャスター、ダンテ・マーティン、ナイラ・ローズ、アイザイア・キャシディ、マーク・クエンが12月にテレビ番組に出て勝った。TBS王座の初代チャンピオンを決めるトーナメントの出場者は多種多様だよ。スウォールと再契約しなかったのは、彼女のプロレスが良くないと思ったからだ。
多様性は意識している、批判を受けるのはおかしい…と言いたいのでしょう。
このツイートが話題になった後、志田光やパワーハウス・ホブスのように、AEWへの感謝を表明するマイノリティもいました。一方で、リオ・ラッシュからは「謝罪しろ」と批判されています。また、トニーが過去にスウォールのプロレスを賞賛していたことを揶揄する声も。彼女へのリスペクトがないですよね。
調子の良いAEWですが、スウォールが指摘した構造の問題を解決しなければ、レスラーたちの不満を解決することはできないでしょう。ブライアン・ケイジがこんな感じになるとは、彼が入団した時には考えもしなかったですね。
(Fightful)