新日本プロレスのOSKARが、デビュー前に過ごした野毛道場の過酷な日々を振り返りました。1日最長6時間の練習や1000回のスクワットを経験し、自身も2度倒れたほどに追い込まれたものの、「一番重要なのは、諦めない意思を身につけることだった」と語っています。
現在はIWGPタッグ王座返り咲きを狙うOSKAR
現在、OSKARはYuto-IceとのタッグチームKnock Out Brothersで新日本のタッグ戦線を代表する存在として活躍しています。2025年9月にIWGPタッグ王座を獲得して6度の防衛に成功。さらに、シングルプレイヤーとしても2026年のG1 CLIMAX 36へ初出場を果たしました。
新日本の主要戦線で戦うほどの存在に成長したOSKARですが、その土台になったのがデビュー前の道場生活でした。母国ドイツのPodcast番組でのインタビューで、「日本の道場は噂どおり過酷だったのか?」と質問されると、自身の過酷な経験を詳しく振り返りました。
「完全に拷問みたいなトレーニング」
ああ、拷問みたいなトレーニングだよ。週6日トレーニングがあって、日曜日だけは一応休み。でも休みって言っても、運動をしないだけで、掃除も片付けも料理も、いろいろ全部やらなきゃいけない。生活そのものが止まるわけじゃないんだ。
道場に入った瞬間から、海外遠征へ行くか卒業する前の最後の日まで、ずっと燃え尽きる寸前みたいな状態だよ。それくらい全部がきつい。毎日、何時間もトレーニングする。運が良ければ3時間半だけ。運が悪ければ5時間とか6時間。どっちも経験した。1000回スクワットしたり、何百回も腕立て伏せをしたり、倒れるまで有酸素運動をやったりね。
俺は道場で、もう無理だってなって2回倒れたことがある。でも、それが普通なんだ。むしろ「見ろ、限界までやったぞ。こいつは本当にデビューしたいんだ」って、良いこととして見られるくらいだった。ちょっとバカげてるけどね。でも、本当にそういうところなんだ。
OSKARは、この負荷が単に体を追い込むためだけのものではなかったとしています。基本動作を体へ染み込ませるだけでなく、長時間の試合でも諦めない精神を作ることに大きな意味があったと振り返りました。
基本動作を身体に染み込ませることは、間違いなく必要だと思う。寝ていてもできるくらいまで叩き込まれるんだ。今でも道場でやっていたトレーニングは、たぶん全部思い出せると思うよ。プロレスの基本って忘れないんだよね。自転車に乗るのと同じだね。
でも、俺が今でも道場で一番重要だったと思うのは、諦めないという意思を身につけることなんだ。それが後になって試合ですごく重要になる。例えば、この前やった真壁と矢野との試合も、たしか試合時間は35分近くだった。30分くらいになってくると、「ここからまたこいつを持ち上げるのか?マジかよ」ってなる。本当にものすごくきついんだ。
道場では、本当に絶対的なマシンになるように鍛えられる。終わるか、自分が倒れるかするまで、本当に諦めないようにね。だから道場は脱落する人もすごく多い。毎年、7人、8人、9人くらいが入門しても、デビューまでたどり着けるのは1人か2人くらい。残りは夜中に出ていってしまうか、クビになる。本当だよ。
俺の同期も、たしか最初は5人か6人くらいいた。でも1週間後には2人しか残ってなかったな。
過酷なのはトレーニングだけではなく…
道場では、トレーニングだけでなく、掃除や料理まで含めて一日のほとんどが管理されていました。朝から道場内の仕事をこなした後に練習へ入ります。
最初は研修生として入って、髪を剃って、ずっと短くしておく。だいたい朝8時に起きて、そこから1時間掃除する。道場に何人いるかによって、それぞれ担当する場所が決まるんだ。10人いれば分担できるけど、一人なら全部自分で掃除しなきゃいけない。ある時期は2人しかいなくて、2人で道場全部を毎日掃除してた。でも毎日掃除機をかけていれば、そんなにすぐ汚れないからね。それでも1時間くらいは普通にかかったよ。
9時になったら少し食べる。当時はバナナ2本とかだった。もっと食べると吐いちゃうからね。だからバナナ2本。プロテインシェイクも飲んだかな…。
で、10時からトレーニングが始まる。スクワット1000回とか、ジャンプスクワット500回とかだね。それか走りに行くんだ。近くに川があって、朝に9キロくらい走るよ。あと、腕立て伏せとか、ロープも使う。だいたい1時間半から2時間、有酸素運動やウエートトレーニングをやって、その後に1時間から3時間くらいプロレスの練習をする。
最初は新人もみんな、「たくさん食べなきゃ。トレーニングのためのエネルギーが必要だから」って朝から食べるんだよ。でも1週間くらいやると、みんなバナナ2本くらいになる。それ以上は無理なんだ。
トレーニングが終わるのは、だいたい午後1時から4時くらい。デビューが近づけば近づくほど練習は長くなる。最後に全部を徹底的に叩き込むんだ。本当に、本当にデビューしたいのか確認するために、積極的にこっちを壊しにくる。それで、その資格があるかを見るんだ。
トレーニングが終わったらシャワーを浴びる。運が良ければ、ちゃんこ番をする日もあるよ。そうすると一日中スープを作ったりする代わりに、その日は練習しなくていい。だいたい週1回くらいあったかな。それ以外の日はトレーニング後に3時間か4時間くらい自由時間がある。でも実際は寝るだけだよ。もう何もできないから。ベッドで「うわあ……」ってなってる。それから夜にもう一度、1時間掃除する。デビューするまでずっと、そんな生活だよ。
コロナ禍で遠回り。後遺症を抱えながら6カ月耐える
OSKARは野毛道場へ入る以前、ニュージーランドのファレ道場で約1年間トレーニングを積み、新日本でも3カ月の研修を経験していました。本来であれば、そのままデビューへ進む予定だったものの、コロナ禍で計画が止まりました。
俺の場合は、野毛道場に入門する前にファレ道場で1年間やっていたんだ。それもめちゃくちゃきつかったけど、日本ほどのレベルではなかった。でも別の意味では大変だったよ。生活費を稼がなきゃいけないから、働いてた。野毛道場では全部出してもらえる。やるのはプロレスと掃除と料理だけで、それ以外のことは全部用意されているんだ。だから、その部分では少し楽だった。
ファレ道場を1年間経験して、その後に野毛で3カ月の研修もやっていた。本当ならそのままビューする予定だったんだ。もうかなり準備はできていたから。でもコロナのせいで、それができなかった。
日本に戻ったのは2022年5月で、さらに6カ月トレーニングした。日本へ来る少し前にコロナにかかって、残念ながら2カ月くらい後遺症のような症状があったんだ。それで持久力が完全に落ちてしまってね。あの状態でトレーニングするのは、本当にきつかったよ。軽い後遺症が残った状態で道場の練習をするのは、本当に辛かった。
何が起きているのかも最初はよく分からなかった。コロナにかかったことは分かっていたから、それが原因かもしれないな、とは思っていたんだ。それでいくつか検査をして、「少しコロナ後の疲労が残っている。2カ月から2年くらい続く可能性がある」って言われたんだ。幸い、実際には比較的早く良くなった。「まず様子を見よう」ってなって、本当に毎日少しずつ改善していった。うまく回復してくれて、俺は少し運が良かったと思う。それからもう6カ月トレーニングして、2022年11月に最初の試合をしたんだ。
今回の発言は、デビュー前の選手がどれほど過酷なトレーニングを積んでいるのかを、実体験を通して語るものでしあ。OSKARの場合、外国人レスラーが文化の異なる日本で過酷な日々を耐え抜き、コロナの後遺症にも打ち勝った…という、なかなか聞けない話です。
(情報源: OSKAR interview transcript / New Japan Pro-Wrestling)