21世紀のプロレス界を代表するレスラーであるAJスタイルズは、「現代のレスラーはオールドスクールなセルの技術から離れてしまった」と感じているようです。
技のインパクトを強調し、ファンの感情的な反応や没入感を生み出し、試合の質を向上させるセル。バンプ(受け身)との違いとして、「セルは感情的な、バンプは物理的な反応を指す」と説明されることもありました。しかし、「バンプ(受け身)の技法は教えられても、セルの技術は軽視されがち」と指摘されることも多く、ベテランたちはそのことを問題視してきました。

AJもまた、セルの技術が失われつつあることへの危機感を覚えています。最新のインタビューで、彼は次のように語りました。
現代のプロレスに欠けているものを一つ挙げろと言われたら、こう答えられるよ。俺は今でも、トレーニング前に友人の家に行って、昔の試合を見るんだ。それが俺たちの習慣みたいなものなんだよ。そこで、俺はこう思う……今のプロレス界から最も失われているものはセルだな、とね。
昔の選手たちの受け身の取り方といったら、本当にこれが痛いんだ、この男は苦しんでいるんだとファンに「信じさせてくれた」ものだよ。俺たちはそこから離れてしまった気がするし、俺も他の誰かと同様にその責任がある。
でも、もし昔のように戻して、「Less is more」……つまり、「より少ないことは、より豊かである」みたいなことを実現できたら、それが皆にとってベストだと思うんだ。
また、彼は逆に「失われてよかったもの」として椅子攻撃を挙げています。
正直なところ、何年もの間椅子攻撃を受け続けてきたから、それがなくなったのは嬉しいよ。相手が振りかぶってきた時に飛び込むようにしたり、頭を突っ込むようにしてフルスイングさせないようにしたりして、痛みを和らげる方法を探そうとはするんだ。でも結局のところ、気分がいいものじゃない。背中への椅子攻撃が気持ちいいなんて言えたらいいけど、そんなことはない。
カート・アングルには魂が抜けそうになるほどの一撃を食らったよ。つまり、椅子攻撃には強烈なものがあった。一部のレスラーは本気で振り抜いてくる。そして、そうしなければならなかったんだ。そうしなければね。
(Fightful)
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