WWEのチャド・ゲイブルが、ラジオ番組のインタビューでAAA参戦を振り返り、現地メキシコのファンから向けられた激しい敵意を明かしました。時に身の危険を感じるほどだったと語る一方、メキシコの観客が持つプロレスへの情熱を最大級の言葉でたたえています。
ゲイブルは、2025年から覆面レスラーのエル・グランデ・アメリカーノを演じてきました。彼の負傷による欠場期間中にルートヴィヒ・カイザーが二代目としてキャラクターを引き継ぎ、メキシコのAAAではカイザー版が現地文化を尊重するベビーフェイスとして絶大な人気を集めます。一方、復帰したゲイブル版は「オリジナル」を名乗る憎まれ役として位置づけられました。
この二人のアメリカーノによる抗争は、現地時間5月30日にメキシコで開催されたNoche de Los Grandesにおいて、マスカラ・コントラ・マスカラ・マッチで決着を迎えました。ゲイブルは、インタビューの中で、その舞台となった会場の熱狂をこう振り返っています。
俺に向けられる憎しみのレベルは、正直、時々恐怖を感じるレベルだったね。昔のテリトリー時代の話でよく聞くだろ?「あの頃のプロレスには本物の憎悪があって、客は本気で俺たちを殺そうとしてた」みたいなやつ。
いやー……、メキシコでは実際に危険を感じる瞬間があったよ。小さな子どもまで僕に向かって何か叫んでいて、「それは言っちゃダメだろう」って思うようなこともあったんだ。
会場入りの様子を撮影する場面についても、印象的なエピソードを明かしています。
そうすると、みんなが俺に手を出してきて、押したり、つかんだりしてくる。今の時代ではなかなか得られない、リアルな体験だったよ!でも、俺は好きだったね、そういうの。
そして迎えたマスカラ・マッチ当日の心境を、ゲイブルはこう表現しました。
でもそれは、彼らとメキシコの人々への称賛でしかない。彼らが持ち込む情熱は、まさに別次元なんだ。
この試合にゲイブルは敗れ、ルールに従ってマスクを脱ぎました。リング上には妻と3人の子どもたちも姿を見せ、「オリジナル」エル・グランデ・アメリカーノの正体が自身であることを明かした上で、いつかAAAに戻ってくると誓っています。この一戦は2026年のベストマッチ候補として高い評価を受けました。潔く去ったゲイブルに対し、WWE公式も敬意を込めた投稿を行っています。
This is what we like to see, Chad Gable! 👏 RESPECT.
— WWE (@WWE) June 8, 2026
ゲイブルの言葉をどう読むか
注目したいのは、ゲイブルが観客の激しい憎悪を、恐怖と同時に誇りとして受け止めている点です。自分に本気で敵意を向けてもらえること自体が、予定調和になりがちな現代のプロレスでは得難い「本物」だと語っています。
命の危険すら感じる熱をあえて肯定的に振り返る姿勢は、ヒールを演じる者の矜持そのものではないでしょうか。メキシコ文化を茶化す役どころを引き受けながら、その反発を最後に敬意へと転じたこの一連の物語は、ゲイブルのキャリアでも屈指の仕事として記憶され、WWEの歴史を語る上でも欠かせない決着戦として語り継がれるでしょう。
(情報源: KFAN / Wrestling Observer)
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