WWEで活躍する選手たちには、「テレビ番組で試合をする」というメンタリティが必要不可欠です。「テレビで魅せる技術」が求められるという点で、インディ団体での活動とは大きく異なります。
カメラがどこにあるのか、カメラがどこを狙っているのか、テレビやスマホの画面を通して試合を見るファンにアピールするためには何をすればいいのか…。こうした視点は、インディ出身の選手たちが見落としがちなポイントとして指摘されがちです。インディシーンで実績を積んでからWWEへ移籍し、活躍してきた選手たちは、NXTでの経験を通してこの技術を取得するのが一般的です。
インパクト・レスリング(現TNA)からWWEへ移籍し、NXTで大活躍したのちメインロースターへ昇格したカリオン・クロスは、最新のインタビューで「インディシーンからメジャー団体に上がってくる選手たちにとって、『テレビ用の試合をこなす技術』がどれほど重要かを熱く語りました。彼は、番組を編集するスタッフたちのことを常に考えながら試合をしているといいます。
インディ出身の選手たちの多くは、TVカメラの前でどう動くかなんて知らないんだ。リングで試合をする技術とはまったく別の世界だよ。テレビ用の試合ってのは、どこにカメラがあるか、映像トラック(編集室)がどうカットを切り替えるか、それを理解して動けるかが問われる。
たぶん変に聞こえるかもしれないけど、リングにいながら俺の頭の半分は編集トラックにある。今どのカメラが映してるか、どのくらいの秒数でカットが変わるか、そこを見越して動くのさ。
「どこを映してもらえるか分からない」って考え方もあるけど、俺はそういうやり方はしない。どのカメラが自分を拾うか分かってるし、それを狙ってパフォーマンスしてるよ。
彼がこうした視点を持つようになったのは、WWE入団前にトレーナーから「WWEに行く前に、何を求められても自信を持ってこなせる状態であるべきだ」と指導されたことがきっかけだといいます。
たとえば「キャベツについて60秒のプロモをしろ」って言われても対応できるか? いきなりアイアンマン・マッチを任されても大丈夫か? 逆に30秒で一方的に潰される展開を飲めるか? それが無理なら、まだ準備はできてないってことだ。俺はそういう課題を一つひとつ潰すようにトレーニングしてきた。
大舞台で活躍のチャンスを得るためには、どんな場面にも対応できる適応力も必要です。クロスのように、あらゆるスキルを磨き、番組制作のことまで意識した上で試合をすることがWWEスーパースターには求められます。大変な世界ですね…。
(Wrestling Inc)
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