昨日、WWEはメキシコの大手団体AAAの買収を発表しました。ルチャに力を入れているWWEが中南米の市場に本格参戦。買収に関する噂は特に流れていなかったため、WWEユニバースは驚愕するばかりでした。
アメリカ国外での市場開拓に力を入れているWWE。近年は中南米とヨーロッパでショーを成功させ、上昇気流に乗っていました。以前は「世界中にNXTを作り、選手を育てる」という抗争を掲げていましたが、今後は団体買収や提携という形で手を広げていくことになるのかもしれません。
それにしても、なぜAAAの買収を決断したのか?そして、なぜこのタイミングでの発表となったのか?Fightfulがその背景を報じています。
まず、AAA側の動き。そもそも、AAAは数年前から「他団体との提携や支援の可能性」について議論を進めていたそうです。WWEもその候補の一つで、両者は話し合いを続け……そして2023年にWWEとUFCが合併して会社TKOが発足すると、AAA内部で「提携相手はWWEになる」という見方が強くなったといいます。
さらに、なぜこのタイミングでの発表になったのかについて。Fightfulは、「買収自体は極秘裏に進められたが、AEWとCMLLがアレナ・メヒコ大会(AEW初のメキシコ大会Grand Slam)を発表した後で最終決定された」と報じています。AEWとCMLLの動きに対する戦略的な意図が、WWEのAAA買収の背景にあったのかもしれません。
一方、AAAで活躍する所属レスラーたちの一部は、WWEによる買収に懐疑的な反応を示しているそうです。その理由は、団体創設者アントニオ・ペーニャの遺族であるロルダン一家が団体の完全な支配権を手放すとは考えにくい、という点。WWEへの売却における具体的な条件や今後の運営体制は不明ですが、創設者一族がどのような影響を及ぶすのか、WWEとどの程度協力できるのかによって、パートナーシップの形は変わってくるかもしれません。
WWEチーフ・コンテンツ・オフィサーのHHHは、AAA買収を通して「選手が存分に力を発揮できる舞台を作りたい」という理想を掲げています。世界を騒然とさせたこの動きが成功するのか、失敗に終わるのか…。その答えは数年後に出るでしょう。

(Fightful, Wrestling Inc)
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